2011年3月22日火曜日

絶対安全な原子力発電所はありえない

福島原発の事故を受けて、いくつかのブログで「想定外という声に憤りを感じた」とありました。

福島原発の事故の初期段階で、アメリカのニュースでは「日本は原発を受けた唯一の国だ。その日本が安全な原発を作れないなら、どこの国が安全な原発を作れようか」と書かれていたらしいです。

どんなに頑張っても、絶対に安全というものは作ることができません。99.999999%安全でも、100%安全とはいい切れません。それは、どれほどのものを作ろうとも、想定外のことは何が起こるかわからないし、全て想定したとしても、その時完全に安全なシステムというのは実現できないからです。

どんなシステムを作ったところで、そこには必ず弱点があります。だから、私は「絶対に安全な、何が何でも安全な原発を作ることは不可能である」と思うのです。

想定外に対して批判する人は「過去に全世界で起こった記録のある全ての災害を想定すべきだった」という意見なのだと思います。多分、その想定であっても、絶対に安全な原発は作れない。

生きている我々が次の一瞬に死なない保証がないのと同様、動いている原発が次の一瞬に危険にならない保証もありません。我々ができることは、原発が次の一瞬に安全である確率を、出来る限り100%に近づけることだけです。

アメリカの反語的な問いには、こう答えたいと思います。日本人だろうが何人だろうが、どれだけ頑張ったとしても、我々は決して絶対に安全な原発を作ることはできないのだ。

7 件のコメント:

マオぢい さんのコメント...

聞くところによると福島原発の津波の想定高さは5mらしいですが、歴史上日本で起こった地震による津波の高さは
1896年明治三陸地震38.2m
1993年北海道南西沖地震30m
らしいですね。(Wikipediaによる)
と言う事は想定の津波高さがコストなどで
甘かったのでは無いのですか?
確かに絶対安全な原発を作る事は出来ないかも知れませんが、当初の想定(設定)があまりにも甘かったは誰の責任でしょうか?
想定外と言うなら設計時の判断の元の数値や設定経緯を納得出来るように説明して貰いたい > 関係者

Volcanologue さんのコメント...

だから直ちに原発をやめよう,という話にはなかなかならないし,出来ないですよね.原発を作るときの地質図に推定断層を書こうとしたら,「ないかもしれないじゃないですか」と言って止められたという話も,聞きますし.
今回の一件では,私は行政が,どういうところが落し所なのか,ちゃんと検討しているのかどうか,不信感をぬぐいきれません.

達哉ん さんのコメント...

>マオぢい 様
ありがとうございます。
仰られているような津波高さがあるにもかかわらず設計が…というのは問題ですよね。想定が甘いことは言い逃れできない事実だと思います。
私の言い方であれば、100%に近づける努力を怠っているということですよね。想定外についての憤りは至極もっともだと思いますし、それについての反論もないです。ただ、それを土台に、私は「安全な原発などないのだ」ということをいいたかったのです。

>Volcanologue 様
いつもありがとうございます。
そう、絶対安全な原発は作れないけれど、じゃあやめようとはいかないですから、そこに経済面その他との折衝があるのだと思います。
行政システムの一番上が文系の人間である以上、理系の考えはどうしたって過小に見られると思ってしまいますし、「仮に気象庁が気象省になったらどうする?」という話をしても「トップが実情を知らない人になるからいやだ」という人が少なからずいるところに、その片鱗が現れているように思います。

大阪のオバチャン さんのコメント...

>我々ができることは、原発が次の一瞬に安全である確率を、出来る限り100%に近づけることだけ 

そうですね。何に関しても言えることだと思います。
原発反対派の意見が、つい先日歴史的な判決が下りてしまったイレッサ訴訟とかぶります。
件のアメリカのニュース原文は見ていません。
が、その方の主張は「全く副作用がなく飲んだら確実に治る薬」を求めているのと寸分違わないように思えます。

絶対安全な原発も副作用の無い薬も。
何でもゼロリスクになんて到底できっこないのに・・・
逆に考えると我々は有り難さをつい忘れるほど安全なもの達に囲まれているということですね。

達哉ん さんのコメント...

>大阪のオバチャン さん
ありがとうございます。
ゼロリスクなんていうものは存在しないのですが、どうしても100%を求めてしまうのが我々なのかもしれません。でも、実際は、100%なんて言えない…というのが、色々な「科学」の立場だと思いますし、それに付随する科学技術も100%は無理なのだと考えます。

匿名 さんのコメント...

安全な原子力発電...
実はこれがあるんですよね。

今稼動している原発は、すべて核分裂でエネルギーを生み出しています。核分裂では、ウランやプルトニウムに中性子をぶつけ、原子核を壊してゆくことでエネルギーを取り出します。
核分裂は反応が連鎖的であり暴走の危険があるのと、また原子核が壊されてできる放射性物質の崩壊を止めることができず、崩壊が終わる時を待つしかないので、連鎖的な核分裂を止めることができても使用済み核燃料から放射線・崩壊熱が何十年・何百年、何万年もの間、発生し続けるという、原理的に危険性のある代物です。

それに対して、原子力の技術には、現在開発中の核融合というものもあります。これは、水素とかヘリウムといったウランと比べて遥かに軽い物質の原子核を融合させることで、エネルギーを取り出す方法です。
核融合は反応を持続することが難しく、いまだに発電は実現されていませんが、反応を持続させることが難しいくらいだから暴走の危険は無いですし、中性子による炉の放射化はあるので放射能の危険が全く無いわけではありませんが、使用済み核燃料から放射線・崩壊熱が発生し続ける、ということはありません。

ただ、まだ技術が完成しておらず、待たなければならない、それだけです。

一番罪深いのは原子力技術にかかわっている人達で、原子力技術の中で相対的に危険である核分裂の技術を、彼らは「安全だ」といっていたんですよね。核融合と比べると核分裂は危険だ、ときちんと言っていれば、誰も今の原子力を夢のエネルギーとは思わなかったはず。

楽観的な見通しかもしれませんが、核融合は50年後には実用化される可能性があるそうです。核融合が実用化されたとき、核分裂による原子力発電は確実に時代遅れになります。
そのとき、福島や大量に抱え込んだ使用済み核燃料はどうなるのかと考えると、絶望的な思いを持たざるを得ません。

達哉ん さんのコメント...

>匿名の方
ありがとうございます。
核融合発電所はシムシティはじめ、様々なところできいており、マイクロ波発電の次に実用化が早そうだと思っているのですが、これを原子力発電の範疇に入れるのはどうなのでしょうか?原理的にはたしかに原子力を用いた発電ですが、現状の核分裂発電所をほぼ原子力発電とイコールにしている状況では一般にいう「原子力発電」とは違うように思います。

先日、友人と話していて、「まずはマイクロ波発電を、ついで核融合発電を実用化して欲しい。」という話をしていましたが、原子力(核分裂)発電が、より安全である、マイクロ波発電や核融合発電に取って変わられていくことを切に願っています。