2011年3月23日水曜日

誰も書かなかった中島みゆき論ベスト200を聞いてみよう その15

今回は121位〜130位のうちから3曲チョイスしました。

愛情物語:126位。1番は、タイトルからのイメージとは違った、愛情を「捨てる」というか、別離するというか、そういう感のする歌詞だと思います。でも、2番以降には「狙うのは私だけでいい」「あなたには裏切りと憎まれてもいいから」「たとえ離れても心は変わらない」という、相手のことを優先して自分を捨てるような、ある種捨て身の愛とも言えるような愛情が書かれているように見えます。自分はどうなってもいいから、自分の周囲が幸せであるように…私は初詣などでいつもこう願っていますが、その発展がこの曲なのではないかと思います。

おだやかな時代:129位。「鳴かない獣が好まれる時代」、これは異論の声をあげない人が好まれる時代というのか、それとも声を出さない従順な人が好まれる時代というのか、どちらでしょうか。どちらにしたとしても、私には生きにくい時代です。そんな生きにくい時代で「毎日Broken my heart声もたてずに 毎日Broken my heart傷ついていた」というサビが的を射ています。

最後の女神:この曲大好きなのですが、意外と後の方で出てきました。130位。「幼い日に見た夢を思い出してみないか」から始まる、夢の中の物語。幼い日の夢をもち続けるから、ピーターパンはいくつになっても飛べるといいます。幼い日の夢が飛躍への原動力となることが、少なからず有って、そんな幼い日に見た夢を思い出したとき、その幼い日の夢の実現の可能性こそが「最後の女神」なのではないかと解釈しています。直せなかった壊れたおもちゃを直せる最後の人が最後の女神であり、それは人間の成長を描いているものではないだろうかと。「夢の通り道を僕は歩いている」と「五才の頃」あたりを彷彿とさせる名曲です。時代・誕生・Maybe・浅い眠り・見返り美人といったそうそうたる曲が並ぶSingles2-Disk1の隠れた名曲です。

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