2017年8月11日金曜日

往く祖父と帰る祖母に

祖父は無事に天国についたか
満中陰を迎えた頃は盆
旦那を見送った祖母の姿を見ながら
きっと帰ってきているもう一人の祖母をも偲ぶ

故郷で時は少し淀み
そしてまた流れ出した
心の鬼籍に入った多くの人
本当の鬼籍に入った祖父
未練を一つ一つ減らしながら

法要の帰り道
嘗ての祖母の家の前を通り
通った母校の前を通り
以前の自分の蔭を感じながら
今の自分の歩みをすすめる

話せる人を鬼籍に入れることなく
満足で不足ない時間が続けば一番でも
それは叶うことではない
双肩の荷は重く
前の道はいよいよ遠く
しかし縁はいつか薄れて

万事気嫌よく
大師匠の理想は
私にはまだ及ぶべくない境地
けれどもせめて
私に関ってくれる人をすべて愛して
私はその理想へ歩みたい

歩む不安に
ふと祖父が笑った気がした
ふと祖母が抱きしめてくれた気がした

祖父は天国にたどり着いただろうか
祖母は私の噺を聞いてくれただろうか
私に見えずともきっとそうだと信じている

この道に縁のある全ての人に気嫌よく
そう歩めるよう
本当の鬼籍に入った二人に
見守っていてもらいたい静かな夜