2010年8月24日火曜日

「誰も書かなかった中島みゆき論」ベスト200を聞いてみよう その2

ベスト200を聞いてみよう、というのを先日書いたとおりで、とりあえず聞いてみることにしました。ただ、全曲の感想を書いたところで、自分の好きでない曲もあろうし、陳腐な感想になってしまうというのもありますから、ちょっとずつ、めぼしい曲だけを書いていこうと思います。

PAIN:ランキング1位。私は「心の中には、寂しさの手紙が宛名を書きかけてあふれている」というフレーズが最も心に残りました。どことなく淋しさを感じさせるメロディーの中で、このフレーズの「宛名」はいったい誰なのでしょうか。私はこの結論を出すことはできませんでしたが、それでいいのではないかと思います。寂しさの手紙は書きかけだからいいのだ、と。私はまだここにあるだろう深い意味を読み取れるほどの経験を積んでいない、とそれを痛感します。


二隻の舟:ランキング3位。イメージはカップルなのか、と思いながら聞きましたが、それよりも、船に関するところよりも、最初の「寂しさの分だけ愚かさをください」がこの歌では一番印象深いです。寂しさの代わりに温かさや愛情ならわかるのだが、愚かさが欲しいとは一体どういう事なのか、と考えさせられるのです。愚かさとは人間の本質だから、人間味が欲しいということなのだろうか、でもそんな陳腐な解釈で良いものだろうか、と思うわけです。寂しさを置いて行く「時」がこのまま流れていったとき、私はもう一隻の舟にであい、「ひとつずつの そしてひとつの」二隻の舟となることができるのでしょうか。


永久欠番:ランキング8位。以前からよく聞いていた曲ですが、やはりぐっとくる言葉だと思います。私にも少しは意味が汲み取れるようにも。自分という人間は永久欠番であるのに、その永久欠番は結局忘れられてしまう、という矛盾が描かれています。何よりも、私という人間を永久欠番としてくれる人間はいるのか、いや、自分自身が永久欠番となる場所はあるのか、という気持ちに対して、その答えを歌い上げた曲だと思います。「空の手のひらの中 人は永久欠番」というのですから。私が毎日見ていて、そして仕事にも絡んでいる空のなかで、私は永久欠番なのだと、そう思えば、辛い気持ちが少し楽になる日もあります。


1位~10位のうち「これは!」という曲を書かせていただきました。

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