2011年1月13日木曜日

誰も書かなかった中島みゆき論ベスト200を聞いてみよう 番外編3

今回は I love you,答えてくれのアルバムより…。大変好きなアルバムです。

顔のない街の中で:大変辛い思いをしていて、帰省する度に友人に「周りの人の顔が見えない、顔がない、のっぺらぼうだ」と言っていた頃がありました。冷たいような、寒いような感じがして、生きていくのも嫌に感じることがそれこそ日常茶飯事だった頃です。そんな時にこの歌を聞いて、顔のない街に対して、我々は「見知る」ことが出来れば、という悲痛な叫びを発見したように思いました。今でも聞くたびに、見知っている人でさえ無碍に扱うことのある昨今、我々は周囲を顔のない人として扱っていないか、反省したくなります。

惜しみなく愛の言葉を:タイトルも好きですが、何より、「言わぬが花」の日本人に、ひとつの警句を投げかけているものと思います。「言わぬが花」は確かに日本人の美徳でもありますが、何でもかんでも言わないという誤った捉え方をして、挙句、人間関係がギクシャクしてきます。常に全てを言う必要はないでしょうが、時には惜しみなく愛の言葉を言ってみては、あらん限りを言葉にしてみてはどうかと考えさせられる曲です。

サバイバル・ロード:Tour2010で歌われた曲です。サバイバル・ロードの街、迂回路のない街というのが、先の「顔のない街の中で」の「街」とかぶります。人は人であり、それを無碍に扱うことが、サバイバルを生み出し、「共に行ける者はないのか!」という叫びになる。結果として、人間不信がやってくる。そんな、人間不信の街を描いているように感じます。このアルバム、全体的に現代の絆を軽視している状況、人を軽視している状況を書いている曲が多いと感じるのですが、何かこのころにあったのでしょうか。

Nobody is right:これもTour2010で歌われました。歌詞の朗読があって…その朗読で、改めて歌詞をかみしめ、正しいことの辛さと、正しいと信じていることを押し通す辛さを見つめました。正論は強いから、少し控えめに言う方がいいと、ずいぶん前に言われたことがあり、それは結局、うまく守れてはいないのですが、しかしながら、正論を通すときの辛さは今でも感じます。正しいと信じていることを押し通すときの争い、それは正しいのかと思います。結局のところ、それぞれの人の正しさが相容れないから、争いという、多くの人が正しくないと認める結論に行き着くのだと思います。私は私の正しいと思うに従って行動していますけれども、争いにならない様に気をつけねばと思いましたし、とりわけ、正論を自分の正しさに持ってくるのであれば、相応の辛さがあるものだと感じました。

I love you,答えてくれ:愛さずにいられないバカ…のひとりが私です。そして、"I love you,答えてくれ"という、悲痛とも言える叫びの多くは、虚空に消えていきます。
I love you、というのは言い過ぎなのかもしれませんが、少なくとも、相手になにかを送ることがあります。そこには少なからず愛情が含まれています。愛さずにいられないバカは、受け取ったと答えて欲しいのです。私は愛さずにいられないバカで、そんなバカが、何か手紙を書いて、何かメールを書いて、友人たちに送る。でも、答えてくれることはそう多くない…。
愛さずにいられないバカは間違いなく自分。そして、その自分の気持ちを代弁している歌です。

2 件のコメント:

kammy さんのコメント...

達哉ん

こんばんは
このアルバムのタイトルは
私の高校時代の友達が書いたんですよ!
彼は詩人です
中島みゆきさんのファンでもあります
昨年の忘年会で朝までしゃべってたら
帰りにこのアルバムをくれました

まだ私は聴いてないのですが
近日中に聴いてみます

達哉ん さんのコメント...

>kammy さま
コメントありがとうございます。コメントがうまくいかない件ではご不便をおかけしており申し訳ありません。

三代目魚武濱田成夫さんですね!題字はなんというか、曲で書いている叫びを感じさせてくれるようで好きです。ほとんどが好きな曲でいつ聞いても聞きあきません。

ここでは紹介しませんでしたが、”ボディ・トーク”という曲も好きです。