2013年6月18日火曜日

はぐれメタルはいないということ

ドラゴンクエストシリーズではぐれメタルと言えば美味しいモンスターの代表格です。中盤の、一番経験値が欲しい時に、比較的安全に倒せてしかも実入りが周りに比べて格別良い。おそらく、ドラクエ経験者の大半が、"はぐれメタル狩り"をしたことがあるのではないでしょうか。

以前から、プログラミングを指導する機会があり、今でもプログラミング/パソコン関連の説明をすることがよくあります。その中で思ったのが、やはりはぐれメタルのような実入りの良い物はそうはない、というものです。

世の中にパソコン関連の様々な書籍があり、その中には「小技で○倍早くする」などと書かれている本があります。しかし、実際に指導したり、あるいは小技について説明したりしても、その人がそんなに劇的に早くなるわけはないのです。勿論、数々の小技を"体得"するまで使い込み、それらを状況に応じて適切かつ瞬時に使いこなせるようになったならば、○倍も決して夢ではないでしょう。しかし、それはあくまで、体得した先の話なのです。そして、体得するための苦労は決して少なくありませんし(ローマは1日にしてならず!)、その実入りがはぐれメタルほど美味しいかというとそうではないのです。

パソコンやプログラミングを聞いてくれる多くの人がいるけれど、その人たちに一つわかっておいて欲しいのは、少なくとも私の知っている範囲の中にはぐれメタルは居ないという事です。レベルに応じたモンスターを紹介して、効率よくレベルアップすることは出来るかもしれないけれど、安全に手早く劇的にレベルアップできるような方法はない。私に聞きにくる人にはそのことを理解しておいて欲しいと思いますし、おそらく、パソコン技術に限らず、何かを教える人は皆同じような思いでいることと思います。

残念なことに何かの講座、例えばプログラミング講座を私が担当したりすると、終わった人はそれだけで実力が飛躍したように思ってしまうようです。そうではないのです。私が話したりしていることは基礎の基礎に過ぎないのだから、それを知った上で体得するまで使い込み、応用していく練習が必要なのです。そして、そこにはぐれメタルは居ないのだから、楽できると思うのが間違いなのです。

幾つかの趣味の分野でも同じ事ですが、「ローマは1日にしてならず」の通り、日々の努力が必要です。そして、その日々の努力の中で「はぐれメタルは居ない」という事を認識して、無駄な方向への努力をなくしていきたいものだな、と思います。

2 件のコメント:

tanutarou さんのコメント...

うまい例えですね(笑)
僕も、授業で習ったりしてアルゴリズムの知識について大雑把にでも知ってはいるけど、実際の問題に対してどのアルゴリズムを適用すればいいかが分からなくて十分に使いこなせないことばかりです。
まさしく、体得していない状態です。
地道にまずはスライムを倒していこうと思います。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>tanutarouさん

コメントのお返事が随分遅くなってしまって申し訳ありません。

一歩々々進むしかないな、というのは、自分自身の学習にしろ他の(私にプログラミングを聞いてくる)人にしても、同じだなぁと思います。

ただ、その一歩の場所の違いはあるのだな、と。
スライムがレベルアップになる人もいるし、メタルスライムでも物足りない人もいる。
自分にちょうど良い敵を倒すのが大切なのだろうと思います。