2011年11月19日土曜日

黒インクと青インクの理由


万年筆を始めたばかりのころ、色々な色のインクを楽しんでいました。黒と青にとどまらず、赤色、黄色、水色、緑色とさながら色ペンのように万年筆を使っていました。

ところが、現在自分の使っている(オンラインの)ペンをみると、黒(またはそれに少々色を付けた色、黒っぽいセピアなど)と青~紫ばかりで、それ以外の色は一本も見当たらないのです。なぜなのか、少し考えてみました。


黒と青以外の色は、たいてい明るくて、目にきついというのが一つ目の理由です。黒と青以外で何かを書くと見づらくて、ただでさえ汚いノートがなおさら汚くなることが多いからです。この理由で黄色や水色のインクは使わなくなりました。

赤や緑は手紙に使えないからです。前者は「血を連想させる」とか「古来絶縁状に使われていたから」という理由で手紙に使うべきではありませんし、後者はいくつかの歌(たとえば梓みちよ「メランコリー」など)で別れの色と言われていて、それを連想する人がいるから、だそうです。

私が万年筆を使うのは、ノートや計算用紙が5割、手紙が4割ぐらいですので、これらに使い辛い色インクはおのずと使わなくなりました。結果、残ったのが黒や青、もしくはそれに近い、落ち着いた読みやすい色なのです。色インクを使っていたころは分からなかったことですが、黒や青だけでも非常に多くのバリエーションがあり、「落ち着いて読みやすい」という条件を満たしたうえで色を楽しむことができるのです。

結果、市販品でも十分な数がある黒、青インクに好みは落ち着いていったのです。その一方で自分のオリジナルインク(石丸さんに作ってもらったインクを含む)の大半は黒・青系統ではなく、使うことはなくなりました。プラチナのミックスフリーインクをまだ購入していないのも、今の自分にとって黒・青以外の色インクを使う機会はまずない、という考えからです。絵でも描いたらといわれることがありますが、基本的に絵を描くのが嫌いなので、色インクを使う機会はなさそうです。

多種多様の色インクは万年筆を使ったデコレーションに向いており、大いに価値あるものと思います。しかし、ノート、それも計算用紙に近い、学習に使い捨てるようなノートと手紙しか書かないような、私のような使い方をするのであれば、青と黒で十分なのだと思います。そして同時に、黒インクと青インクは、それだけで十分おなかいっぱいといえるぐらい、多くのバリエーションがあるインクでもあるのです。

2 件のコメント:

大阪のオバチャン さんのコメント...

仰るとおり、ベーシックな色でもバリエーション十分ですよね。
最近はインク一種類でもいいかもと思うほどですが、万年筆本体と同じメーカーのものを
なんてやると増えちゃいます。やれやれです。

話は少しそれますが、もし今後イスラム圏のご友人が出来たら、緑を是非使ってください。
私の記憶する限り彼らの標準は日本の黒、欧州の青と並んで緑色だったかと。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>大阪のオバチャンさん
ありがとうございます。コメントが遅くなってしまいました。
私、インクは似たような色が多いのですが、それでも7色ほど使っていて、減る気配がありません。そのすべてが黒/青に属しています。

イスラムの方は緑なのですね、初めて知りました。機会があれば使ってみます。