2011年8月27日土曜日

TeXとOfficeの差異(前編)

※ 25日〜31日は所要により、コメント等が遅くなる場合がございます。予約投稿ですが、ご了承ください。

TeXとOfficeはしばしば同列に語られ、TeXを是とする人とOfficeを是とする人がいます。自分自身は数式・自動レイアウト・コードのハイライト等の観点からTeXを利用することが多いものの、これらは決して対立するものではなく、寧ろ共存するべきものだと思います。

2回に分けて、TeXとOfficeの差異を見て、これらを対比させる必要はないことを示していこうと思います。

TeXは組版ソフトです。出力すべき内容の割付を行うソフトです。つまり、内容さえ書けば後は自動でレイアウト等を整えてくれる、というのがTeXであり、それが組版ソフトであるという所以です。

その一方で、Wordもしくはそれに類するソフトウェアはワープロソフトと呼ばれるソフトです。これは、自動で割付をするのではなく、より自由な割付を可能にして、人間の手でレイアウトを決めていくというものです。

つまり、レイアウトに関する概念がそもそも違う。TeXはレイアウトを自動で決めるから、内容に専念しろ、というもので、レイアウトに独自性を求めないときなどには非常に便利です。

一方で、Wordは細かくレイアウトを設定して、自分らしいプリントを作るのが目標です。ですから、設定項目がTeXに比べると多くなりがちです。

Wordは見ながら書くことができ、TeXは適宜コンパイルしないといけない、という指摘もあります。これは、レイアウトをどの程度凝るかという点でしょう。

数式に関して書かれる場合もありますが、これはフォントの問題であり、Officeの中にはTeXと似たような数式をかけるソフトもあるので、これは単に当たり外れかなと思います。数式を綺麗に書きたいなら、数式を綺麗に出すためのフォントを選ぶべきであり、TeXかWordかというのとは少し違う議論かと思います。

ここまでのことから、レイアウトにこだわった、自由なレイアウトの作品を作りたいのであればWord、そうでなければTeXを使えばいい、という意見を持ってきました。これらはいつ、どのような場面で使うかにもよるものであって、どちらが優れているとか、対比させるとかいうものではないと思います。お花見のお誘いを作るならWordの方が便利でしょうし、あるアルゴリズムとその実装法について論ずるならTeXの方が便利でしょう。どちらもそれぞれの得手があるのですから、これらの一方を排斥することはないと思います。ただ、自分の用途として、どちらをよく使うかがあるだけだと思います。(後編に続く)

4 件のコメント:

Volcanologue さんのコメント...

個人的にはvim + tex + illustrator にその仕事をさせたいと思っているのだが,貴君の反論をまとう.

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>Volcanologueさん
ありがとうございます。
確かにおっしゃる環境だと出来ますけど、さすがに面倒かなと思います。

といっても、私は実際、似たようなことをしているのですが。

TeXをあまりいじったことがないという人が気負いしてTeXを使おうとしていると、TeXの利点ばかりを強調してWord processorソフト不要論を述べる人がいるので、初心者にそれはまずいだろうと書いています。

Volcanologue さんのコメント...

逆にTeXのいいところは,text editor viさえあれば編集が出来るところでしょう.そういう利点はあると思います.

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>Volcanologue さん
ありがとうございます。
大いに賛同なんですが、あんまり明かしすぎると後編の分がなくなるので(^^;
後編もお楽しみいただければと思います。