2011年7月10日日曜日

書評:百年の誤読

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この本は、私が今までに経験したことのない「ちくま文庫のハズレ」でした。実に珍しい経験をさせてもらいました。

タイトルに惹かれて購入したのですが「誤読」なんて甚だ関係がない内容でした。私は
・一般に言われる解釈に対して、それが誤読である根拠を提示し、筆者たちの読みを(これも根拠を伴って)示すことで、その新解釈を述べる
ような本を期待しました。ですが、実際のところ
・二人の対談者の両方が好き(または嫌い)で一致した本について好き嫌いを日常会話レベルで述べた
という内容でした。アマゾンのカスタマーレビューを読んだほうが面白いですから、お金を払ってまで読むことはないと思います。

学問的である必要はありませんが、せめて「読みを提示する」「根拠を持った批判をする」「定まったスタンスでの批評を行う」等をしなければ、書籍として成り立たないと思います。何らかのサイトの紹介文、あるいは雑誌のページ埋めにしかならない。それは、好き嫌いというレベルで話しているからです。客観性が乏しすぎるのです。

文庫版421ページに、自分たちが「プロの読み手である」とする発言があります。プロの読み手だというのであれば、まずはその読みを提示していただきたい。読みも提示せず、好き嫌いを述べるだけなんていうのは、アマチュアの読み手で十分だと思います。金をもらって読んでもらうには物足りなさすぎます。


久々にハズレを引きました。今度の本の整理で、真っ先に売りに出すつもりです。

2 件のコメント:

白天 さんのコメント...

〉真っ先に売りに出すつもりです。
不幸の連鎖が始まります。

常に目の届くところに置いて反面教師とするか、
そっと土に還しましょう。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>白天 様
ありがとうございます。
たしかにそうですね。そっと土に・・・というか、廃品回収ですかね…。
いまいちな本でした。