2014年7月13日日曜日

ペン及び紙の書き味の客観指標化に関するインク質量フラックスの利用について

※ そのうちにfuente等にも投稿したいと考えますが、とりあえず現段階で各位にお伺いしたいと思って記事にします。

ペン及び紙の書き味は現在様々な人の感覚によって表されており、最終的に人の感覚として味わわれるものなのだからそれで良いのかもと思いつつも、伝えるときに難儀しているのが実情です。甘さに糖度があるように、書き味も何らかの形で指標化できれば伝えるのに良いのではないかと言うのを、以前から考えています。これについて、インクの質量フラックスを利用できるのではないか、という考えに至ったので、これについて諸賢の意見をお伺いしたいと考えています。お気軽にコメントください。

以下、詳しく説明します。

書き味を決定する要素は幾つかありますが、インクフローはその中でもかなり主たる位置を占める要素でしょう。このインクフローは、インクの流量によって定まるわけですが、速く書く人とゆっくり書く人とでは当然紙に乗るインクの量も異なります。そのため、インクの質量フラックス(フラックス:流束。単位時間・単位面積あたりの流量のこと)を使うことがインクフローの定量化に結びつくと考えます。そして、このインクフローの定量化は、書き味の客観視評価に一役買うことでしょう。

インクの質量フラックスは、筆記距離・字幅・インクの減った量・その人の平均筆記速度から簡易的に求められます。左右するのは紙、ペン、インク、人となりますが、ペンとインクは総体として見るとすれば、実質、紙・ペン・人の3要素とみなしても良いと考えます。この状況で、個人のフラックス測定ならば人の要素は固定されるため、紙・ペンの状況を評価することが出来るのではないでしょうか。すなわち、紙のみを変えて対象実験を行うことにより、紙による質量フラックスの変化を求められるわけです。同様に、同じインクを複数のペンに入れて、同じ紙で実験すればペンによる変化なども求められます。

紙によるインクの質量フラックスの変化は、紙によるインクフローの違いを表しているといえます。この元データを集めることにより、紙のインクフローを指標化する。指標化されたデータが一つあれば、例えば自分の好きな紙と近い質量フラックスの紙を選ぶことで、おそらく楽しめるであろう新たな紙を見つけることができるようになります。他の要素に関する対象実験でも似たような結論が得られることでしょう。初心者の方に萬年筆をあげたりあるいは買ってもらったりする際、この値を一つの指標として好みの萬年筆を進める、なんて活用方法も考えられるように思います。

この他、摩擦係数や、毛細管現象から計算できる表面張力なんかも指標化に役立つと考えていますが、現状とりあえず、インク質量フラックスは指標化に役立つのではないかという考えを述べるにとどめます。

萬年筆の書き味の客観評価にインクの質量フラックスを使えるのでは、というまだ簡単な考えにしか過ぎませんが、諸賢のご意見をいただければ幸甚です。

5 件のコメント:

log さんのコメント...

拝読いたしました、とても面白い試みですね。紙とペン、インクのマッチングは面白くも悩ましい課題ですが、「実際書いてみないことにはわからない」では、高級ノートなど花盛りの昨今、お財布と相談品がら二の足を踏んでいる現状です。

問題は、人の問題とペンの個体差かと。個人の測定で指標化することはできるように思いますが、人によって筆圧や筆記角度によっても大分変りましょうから、この点はあくまで比較の指標であって、このフローを保証するものではないことが説明されていれば十分かと思います。

あとは、万年筆の同ブランド、同シリーズ、同商品における個体差ですが、これも誤差の範囲と言ってしまえば、それまでかなとは思います。ただ、個人で使い込んだペンはすでに標準品とは言い難いところがありますから、「〇〇さんのペン」という紹介ではなく、「ペリカンの〇〇」のフローという形で紹介するならできるだけ販売前のペンで行う必要はあろうかと思います。

すでにすべてご検討済みのこととは思いますが、ROMはやめることにしましたので、書き込みのための書き込みと、思い、失礼の段ご寛恕ください。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>log さん
まずは一定の統計が取りやすいであろう紙の指標から始めるべきだと考えています。ペンに関する指標としては、仰るとおり一定性が怖い。

また、質量フラックスが大きければ大きいほど良いというわけでもないので、そのあたり、難しいなと感じています。

log さんのコメント...

そうですね。極論すれば和紙のような紙でおっしゃるフラックスが大きい場合でも、書き手が「フローが良い」と感じるかどうかわ難しい問題ですね。それよりもアピカなどのいわゆるツルツルした紙の方がフローが良いと感じるのかもしれません。

続報、期待しております。

Mizukama さんのコメント...

インクの減りについては電子天秤を用いることで十分な精度をもって測定が可能だと思うが、平均筆記速度を求め、またその値を用いて計算するのは、意味のある数値を出す上で精度的に難しいと思う。

自動的に決まった距離を筆記する装置を作れば良いような気もするが、その場合でもlogさんが述べているように筆圧やペン先の角度、加えてペン先の異同速度はフラックスに多大な影響を与えそうなので、求まった指標値が個人の感覚と適合するかは怪しい。

達哉ん/Tatuyan さんのコメント...

>Mizukamaさん
私も、いくつか考えて、ペンの指標としては使いづらいかと考えているところです。
紙のインクの吸い方の指標値となるのかな…?と思っています。