2011年9月29日木曜日

"So average"の意味するところ 中島みゆき歌詞の解釈(8)

今回から、中島みゆきの歌詞の解釈、のタイトルを変更し、曲タイトルではなく、その解釈の上でのタイトルに変更します。


中島みゆきは、自分の歌詞の解釈を聞き手に任せます。それは、私にとって嬉しいことであり、私もその精神に則って、自分なりの解釈をしていこうと思います。

解釈は人によっても異なりますが、時によって異なり、心によって異なり、状況によって異なるものであると思います。同じ曲を複数回出すこともあるかも知れませんが、それは状況や時が変えたということと考えてください。


ご無沙汰していましたが、第8回は「群衆」です。歌詞はこちら。
この曲はオリジナルアルバム「回帰熱」の4番であり、工藤静香さんへの提供曲でもあります。

大勢の人の中で、一人一人が主人公で一人一人の人生というドラマを生きている。そのドラマは優劣をつけられるものではないから、人間が集まって群衆をなしたとき、それは陳腐化され、平均化され、塗りつぶされる…そんなように私は解釈しています。

群衆の中である人に呼びかけている。しかし、それもその群衆の中に紛れていってしまう…。多勢に無勢とでも言おうか、あまりにも小さい一人のドラマ…。優しいメロディーで、優しい心を書いているにもかかわらず、大変に寂しい感じのする歌詞なのです。

しかし。

その中にあるただ一言、これがあるから、私はこの曲が好きなのです。それがタイトルにも書いた"So average"なのです。

「そのようにして、我々は普通になっていくんだね」というのが訳としては多分しっくり来るのでしょう。

大変に寂しい感じのする歌詞に、かわりはありません。でも、群衆というやや突き放した感のある単語に対して「そのようにして、平均化されるんだ」という、優しい感じの歌い方の"So average"があること。それが平均化され、陳腐化されてしまう群衆という中にいる人への優しさを表しているのだと思うのです。

大勢の人の中、私は群衆に過ぎません。陳腐化された人にしか過ぎません。自分が覚えたつもりの人を、やがて忘れてしまうように、逆に自分を知った人で、自分を忘れた人は一体どれだけでしょうか。色々書く手紙も、実は自分を忘れてほしくないという、自己顕示欲が入っているのかも知れません。


※ この解釈は、あくまで私の一解釈であり、正しい・誤りであるというのを書くものではありません。一つの見方として受け取っていただければ幸いです。

※ 扱って欲しい曲がありましたら、コメントでお書きください。

※ 他の解釈が載っているサイト、もしくは自分なりの解釈がありましたら、コメントでお書きください。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私は So average を「それが普通」、「みんな、そうなんだよ」と解釈しています ^^

匿名 さんのコメント...

ここでのaverageは、平均的な、ありふれている、という意味の形容詞。
その前に副詞としてsoがついている。したがって、ここでのsoは、とても、とか、非常に、とか、大変に、とかの強調の意味でしょう。
まとめると、とてもありふれている(人)=群衆、というのが形式的な言葉の意味となるのではないでしょうか?
どんな惨めな(に見える)人も、逆に幸せな(そうに見える)人も、そして私も、とてもありふれている群衆。so average。だがしかし。
という、とても味わい深い、素晴らしい詩だと思います。
中島みゆきさんは天才的というか、天才です。so average では全くない!