中島みゆきは、自分の歌詞の解釈を聞き手に任せます。それは、私にとって嬉しいことであり、私もその精神に則って、自分なりの解釈をしていこうと思います。
解釈は人によっても異なりますが、時によって異なり、心によって異なり、状況によって異なるものであると思います。同じ曲を複数回出すこともあるかも知れませんが、それは状況や時が変えたということと考えてください。
この曲はオリジナルアルバム「夜を往け」の8番であり、アレンジ違い(世良さんとのデュエット版)が「10 wings」の5番に入っている曲です。
歌詞を見比べてもらえるとわかりますが、「10 wings」の方は「夜を往け」に比べると歌詞が長くなっており、順番も変わっています。「夜を往け」のものは「10 wings」の一部ですので、以下、「10 wings」を中心に見ていきます(どちらも大きくは変わらないはずですが)。
1番の主人公は、そのとおり売女なのでしょう。女優のような、「街を歩けば人がみんな振り返る」様になりたいと思っていた子供は、成長して売女となり、悪い意味で振り向かれるようになってしまった…。愛に餓え、一人ぼっちの寂しさの中で、彼女は春の夜、さまよっていた…。
今の若い人が、「バ・イ・タ」というこの歌詞から、売女という単語を思い浮かべることが出来るでしょうか。そう思うぐらい、売女という単語は口語では使わないだろう単語です。淫売・娼婦という単語も同義ではありますが、やはりこれらも口語では使われないだろうと思います。しかし、しかしです。この歌詞では次のようにあります。
「小さな子でさえ私のこと意味も知らずに呼びかけるの 「バ・イ・タ」」
私はここに恐ろしさを感じます。大人たちが子供たちの目をはばかることなく、こんな単語を使っているであろう社会に。ここまである人を除け者にして、ある人を汚いものと扱う人々を。恐ろしい街です。冷たい街です。遠い国のことのように思われる浮浪児刈りが、実際に行われそうな街です。ホームレス刈りも行われそうな街です。
この街の恐ろしさは2番になってもかわりません。歩けば、そこにいる人たちがみんな避けていくようなゴロツキが2番の主人公です。みんな避けていくようなというより、みんな避けていく、という方が正確です。
1番の主人公は、そのとおり売女なのでしょう。女優のような、「街を歩けば人がみんな振り返る」様になりたいと思っていた子供は、成長して売女となり、悪い意味で振り向かれるようになってしまった…。愛に餓え、一人ぼっちの寂しさの中で、彼女は春の夜、さまよっていた…。
今の若い人が、「バ・イ・タ」というこの歌詞から、売女という単語を思い浮かべることが出来るでしょうか。そう思うぐらい、売女という単語は口語では使わないだろう単語です。淫売・娼婦という単語も同義ではありますが、やはりこれらも口語では使われないだろうと思います。しかし、しかしです。この歌詞では次のようにあります。
「小さな子でさえ私のこと意味も知らずに呼びかけるの 「バ・イ・タ」」
私はここに恐ろしさを感じます。大人たちが子供たちの目をはばかることなく、こんな単語を使っているであろう社会に。ここまである人を除け者にして、ある人を汚いものと扱う人々を。恐ろしい街です。冷たい街です。遠い国のことのように思われる浮浪児刈りが、実際に行われそうな街です。ホームレス刈りも行われそうな街です。
この街の恐ろしさは2番になってもかわりません。歩けば、そこにいる人たちがみんな避けていくようなゴロツキが2番の主人公です。みんな避けていくようなというより、みんな避けていく、という方が正確です。
その避けていく中で、避けた…きっと母であろう人は、子供に教えるのです。
「ごらんよ あれがつまりごろつきって奴さ 話はホラばかり 血筋はノラ犬並み 相似が必要なのさ この街をいつでも 人並みに生きてゆく働き者たちのためにあるのだから」
と。
人を避けろと教えなければならない世の中。
きっと自分が親であれば、ゴロツキには近づくなと教えることだろう。
きっと自分が親であれば、怖いものには近づくなと教えることだろう。
その世の中で、ゴロツキはこの街に人に心を閉ざしたことでしょう。
小さい頃、街に変質者と扱われる人がいました。大変怖い人で、友人たちは家の人から「近づいてはいけない」と教えられていましたし、学校でも似たようなことを教えていました。
その人が本当になにかしたのか、私たちは知りません。
なにかしたのであれば、なぜそこにいられるのか。
噂にされるほど「何かをした」ことが分かっているのであれば、逮捕するに十分でしょう。
そう考えると、噂は噂でしかない。
流言の中で人を汚いものと扱い、掃除が必要だといってしまうような、そんな恐ろしい世の中で、二人は出会います。
彼らはこの後旅立つのでしょう。
自分たちが傷つかない場所へと。
全ての人が自分たちを傷つける恐ろしいこの街から。
彼らは、決して人に威張れる仕事ではないかも知れない。決して人前で大手を振ってできることをしているわけではないかも知れない。けれども。彼らは生きていくためにやったのではないか。彼らは仕方なくそうしているのではないか。彼らが貴方になんの害をなしたのか。
防衛本能ばかりの街で、噂に惑わされ、人を見ればまず泥棒と思うような、そんな日々を送っていれば、こうなるのも仕方がないのかも知れません。
排斥されるような害をなしたわけでなくとも、噂で排斥されてしまうような日々。職業差別があるような街。親は、知らず知らずのうちに教えます、「職業差別をしなさい」と。
そんなことが無意識下に行われている社会への警鐘であると同時に、排斥されてしまうような人でも生きていき幸せになるべきなのだと主張した曲なのだと思います。
※ この解釈は、あくまで私の一解釈であり、正しい・誤りであるというのを書くものではありません。一つの見方として受け取っていただければ幸いです。
※ 扱って欲しい曲がありましたら、コメントでお書きください。
※ 他の解釈が載っているサイト、もしくは自分なりの解釈がありましたら、コメントでお書きください。
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