祖父は無事に天国についたか
満中陰を迎えた頃は盆
旦那を見送った祖母の姿を見ながら
きっと帰ってきているもう一人の祖母をも偲ぶ
故郷で時は少し淀み
そしてまた流れ出した
心の鬼籍に入った多くの人
本当の鬼籍に入った祖父
未練を一つ一つ減らしながら
法要の帰り道
嘗ての祖母の家の前を通り
通った母校の前を通り
以前の自分の蔭を感じながら
今の自分の歩みをすすめる
話せる人を鬼籍に入れることなく
満足で不足ない時間が続けば一番でも
それは叶うことではない
双肩の荷は重く
前の道はいよいよ遠く
しかし縁はいつか薄れて
万事気嫌よく
大師匠の理想は
私にはまだ及ぶべくない境地
けれどもせめて
私に関ってくれる人をすべて愛して
私はその理想へ歩みたい
歩む不安に
ふと祖父が笑った気がした
ふと祖母が抱きしめてくれた気がした
祖父は天国にたどり着いただろうか
祖母は私の噺を聞いてくれただろうか
私に見えずともきっとそうだと信じている
この道に縁のある全ての人に気嫌よく
そう歩めるよう
本当の鬼籍に入った二人に
見守っていてもらいたい静かな夜