2010年9月17日金曜日

古本を見に行くこと

私が町をぶらぶらしていて一番惹かれるのは文具店で、次は紅茶店ですが、その次に惹かれるのは食べ物ではなく古本屋です。カッコよく言えば古書店なのでしょうか。食べ物のお店も好きですが、お腹を満たすだけよりも、じっくりと楽しめる古書店が好きです。そこには、文具店とはまた違った味わいがあります。

古書店で色々な本をさがすと、絶版になった本も多く見受けられます。その中には古いながら現代まで変わらないようなことを書いている本もありますし、色々なジャンルの本の中には現在見つけられないような入門書・啓蒙書があることもあります。私の好きなコンピュータの分野ではそうはいかないですが、それでもかなりの数の書籍を楽しむことができ、しかも安いのはいいところです。

図書館と古書店はどう違うのでしょうか。私は、古書店は出会える場所だと思っています。書店もそうですが、ふっと見て面白そうな本に出会えるのは図書館よりも書店・古書店です。図書館はどちらかというと調べに行くという感じです。それはきっと、図書館が貸出という形態を取っているからであり、期間に迫られて読むからです。私は、調べごとこそ図書館を使いますが、基本的には自分で買って、気長に読むほうが好きです。古本でも構いません。それをまた読み返したいと思えばおいておきますし、もういらないと思えばまた古書店に売りに出します。そうして売りに行った古書店でまた新しく面白そうな本を見つける。これが大好きです。

古本屋というと漫画を大々的に扱っているお店も多く見受けられますが、私はあまり多くの漫画を読んでいないので、せいぜい自分の好きな一部の作品を買おうかどうか悩む程度です。そんな観点からすれば、漫画がずらりと並んでいる現代的な感じの古本屋より、書棚がぎっしり並べられていて、ともすれば埃っぽいとも思えるような、いかにも昔ながらの古書店の方が好きです。漫画が多くなくてもいいのです。

ネットで本を探すときにも似たような楽しみ方をすることがありますが、何より古書店が一番です。次点は書店ですが、これは古書店の方が年代の観点からいろいろな意味で面白い出会いが多いことと、やはり値段の問題です。

この前、アマゾンでは数学小景(高木貞治)を買おうとして、数のエッセイ(一松信)に出会いました。ふと立ち寄った近所の書店では、甘党ぶらぶら地図(酒井順子)を買い、実家の近くにできた現代的な古本屋のワゴンからはパソコン用語語源で納得!(藤田英時)を掘り出しました。古本を見に行くことも、色々な本を見ることも、面白い出会いが待っています。ちょっと時間があればネットで、ぶらぶらできるならば手近な古本屋で出会いを探すことが、友人と色々話す素になっています。

最近は文具店に飽きてきましたし、紅茶店では買わなくなりました。見知った文具ばかりだから、新たな発見はそう滅多にない文具店、紅茶が多すぎてこれ以上買っても結局飲む機会に恵まれないだろう紅茶店、と、どちらもかなり楽しんでしまったからでしょう。そうすると、しばらくは古書店が一番になって、東京では神田に出かけるのがひとまず楽しくなりそうな気がします。最近興味のある尾崎放哉でも探しながら、またいい本に出会えれば、と思います。日によっては、思いがけず、いい本‥専門書から啓蒙書にいたるまで…と出会えることがある古本屋、まだ飽きる日は遠そうです。

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