首軸に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウィルスのプログラムが記録されていた。(https://twitter.com/smp_prpr/status/300815807800307712/photo/1)
これについて、何人かとお話させていただきましたが、ある程度伝えておくのがちょっとぐらいかじっている人間の責務だろうと思い、ここに説明を書いておきます。
1.ソースコードは一般名詞で固有名詞ではない
この記事だと、ソースコードはそのウィルスのことを指す固有名詞かのように取られてしまいますが、そもそもソースコードは固有名詞ではありません。一般名詞です。どのような意味かという点については次の節で述べますが、今回のウィルスが「ソースコード」という名前だったのではないという事をまずご理解ください。
また、ソースコードは決してウイルスだけに付随するものではありません。WindowsにInternet Explorer、Microsoft Office等の現実に知られている様々なソフトウェアも元をただせばソースコードです。上の書き方だとソースコードが悪いように思えますが、決してソースコードは悪いものではなく、単なる手段です。"包丁"に善悪を決められないのと同じです。
2.そもそもソースコード=プログラムではない
プログラムを作るためには、コンピュータに命令を与える必要があります。その命令を書いた「指示書」や「手順書」に当たるものが「ソースコード」です。この「ソースコード」を解釈し、コンピュータの実行用に作り出したものが「プログラム」です。つまり、ソースコードという「手順書」をコンピュータ用に翻訳したものが「プログラム」になるわけです。手順書からプログラムが出来るという点では、「設計図」などと言っても強ち間違いではないでしょう。
この様に、ソースコードはプログラムを作るためのものであり、決してプログラムそのものではありません。
3.では、どう直すと正確でわかりやすいだろうか?
どのように直すと、という点を何人かが述べていましたので、Twitterから(自分の分を含め)3件引用してみます。
「首輪に仕込まれたメモリーカードには,遠隔操作ウイルスの素となる『ソースコード』と呼ばれるファイルが記録されていた」こっちの方がわかりやすいか
— blue_jam@卒研が絶望さん (@blue_jam) 2013年2月11日
"首輪に仕込まれたメモリーカードには、「ソースコード」と呼ばれる遠隔操作ウイルスのプログラムが記録されていた。"→"首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウイルスのプログラムが(ソースコードと呼ばれる形態で)記録されていた。"そもそも()内は必要なのかな。
— 結城浩さん (@hyuki) 2013年2月11日
@blue_jam 「首輪に仕込まれたメモリーカードには、遠隔操作ウィルスを生成することの出来る「ソースコード」と呼ばれるファイルが記録されていた」ではどうでしょう。
— 達哉ん/C言語テキスト公開中! (@tatuyan_edson) 2013年2月11日
このような直しが指摘された他、新潟日報はよくかけていると言う意見が出てきました。「カードから、事件に使われた遠隔操作ウィルス『iesys.exe』の設計図に当たるソースコードが確認され、…」
なるほど、これならソースコードのことがある程度正確に伝わりそうです。
要するに、ソースコードはあくまでも様々なプログラムを生成するためのファイルに過ぎないものであり、今回「見つかった」というのは、
「首輪に仕込まれたメモリーカードから、事件に使われた遠隔操作ウィルスのレシピが見つかった」
と言う事です。ソースコードが悪いわけではありません。知り合いにプログラマがいる時に「ソースコードを書いている」といった場合、これは何もウィルスを作っているわけではなく、一般的な(何らかの)ソフトウェアを作っているというだけです。
先に包丁の例えを挙げましたが、ソースコードは包丁と同じように捉えてもらえば結構です。つまり、「有効に活用することもでき」「悪用することも出来る」ものです。決してソースコード=悪と思わないでください。
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