2011年5月20日金曜日

書評:人の短篇集

プログラミングコンテスト参戦記が多い中、普段の10日ごとのコーナーはきちんと続けていきます。

久しぶりに書く書評は「人の短篇集」原田宗典著。

私の好きな、日常の風景を切り取っただけのような、淡々とした話が多くあります。そして、タイトルにもあるとおり、その話のポイントは「人」です。

人がいるからこそありうる、どこにでもありうる、その風景を切り取ったのがこの「人の短篇集」です。淡々と始まる話。そこに起こる、日常の中の出来事。その出来事を人という観点から切り取った、ある意味写真のような短篇集であると思います。

日々のありふれた生活は、人の心に、人が思っているよりも多くのものを残していきます。その、残していったものに触れられる短篇集だと思います。残していったものにはどこか寂しさがある。それは、この短篇集の情景にちょうどよいのではないかと思います。胸踊るストーリーではなく、日々をただ書いたこと、それがいかに我々にとって大事なことか…。

日常の日常たる所以を語る短篇集と評したいと思います。

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