万年筆とパソコンは対比されることが多いもので、実際、私が幾度か寄稿した中にもその対比はあります。万年筆はアナログの代表として、パソコンはデジタルの代表として、非常に対比的に扱いやすいためです。しかしながら、私の見る限り、パソコンも万年筆も凝る人、というのは少なくありません。
万年筆にこるのもパソコンにこるのも、つまるところ道具に凝るということで、人によってはパソコンもひとつの文房具と考えていることもあるので、決しておかしなことではないと思います。ですが、世間一般に言われるアナログとデジタルの対比は少なくとも人間に置いては成立していません。
そもそも、アナログ、デジタルとはなんでしょうか。アナログ放送・デジタル放送ではなく、我々が一般に使うアナログ・デジタルです。私は、アナログを連続的、デジタルを離散的と捉えていますが(どちらも数学的)、であれば万年筆をアナログ、パソコンをデジタルとする理由はどこにも見当たりません。アナログとデジタルって何か、うまく説明できる人は少ないのではないかと思います。
万年筆とPCはよく対比されますが、私は対比するものではなく、共存するものだと思います。万年筆をプライベートに、あるいは手描きで描くべき公文書に、PCを実務的文書に使えば、間違いなく共存します。私自身、万年筆で書く事もパソコンで書く事も多くあり、どちらに傾倒しているとは言いがたい状況です。どちらの知識が多いか、なども結論は「分からない」です。
この、万年筆とPCというのは、実に不思議な関係ですが、デジタルとアナログがはっきりしない現状では、そもそも対比させるのが間違いなのかもしれません。デュポンのオランピオはデジタルとアナログの融合で達哉んにぴったりだ、と評した人がいますが、じゃあその融合の元ってなんだ?と思います。
デジタルとアナログ、それがはっきりしていないから対比の軸として不思議な感のする万年筆とPC。私は、どちらにもそれなりに長じていると評されるから、オランピオを勧められるのかもしれませんが、それこそ1と0で決められない部分があるのだと思います。何でも白黒つける、ビット列のような人間と言われる私がこんなことを言うと、似合わないのかもしれませんが・・・。
3 件のコメント:
万年筆とPCとの比較はもう古いと思います
今や一般の社会人にとってPCが扱えないということは
仕事ができない以前の問題というくらいに必需品
大工さんやとび職の方でもひょっとして必要かもしれない
一方 万年筆は興味あろうがなかろうが生きてゆけますね
万年筆での手書きに
コミュニケーションの密度が高いだとか温かみがあるだとかいう議論も意味がないと思いますね
ようは気持ちですからね
自分が万年筆を使いたい理由で出す手書きの手紙と
緊急ですぐに伝えたいメールとどちらがいいとか そんな議論意味ないでしょ!
僕たち万年筆好きは 僕たちの為に 万年筆を広めたい
万年筆を使う人が多くなればなるほど 僕らは楽しい
ただそれだけのことだと思います
でも今の状態でも十分楽しいですけどね
>kammy さん
コメントありがとうございます。
実はfuenteの前号において「電子的挨拶と手描きの挨拶のいずれが良いか、という議論は一昔前のものだ」ということを書いていて、それに追随する話として書いたものでして、私もパソコンと万年筆の対比は古い、いやそもそもそれをする必要はなかったと思ってます。
今この古びた対比軸を、再び冷静な目で見つめて、万年筆の議論をするときに、一般の人に万年筆のすばらしさを知ってもらうときに、仮に対比を使うならば、どんな相手との対比がふさわしいか、自分なりに考えています。
この「古い比較」が、私の書いた「不思議な関係」によって、「対比の軸としてふさわしくないのでは??」と思ってもらえればいいな、と考え、この文を書きました。kammyさんの言うとおり、これらの比較は古く、それ以前に比較の軸をきちんと形成していないのではないでしょうか。
kammyです 私の持っている万年筆再熱(といういい方も嫌ですけど)のきっかけとされる ワールドフォトプレス社の「世界の万年筆」というムック本
巻頭のメッセージの書き出しが
「万年筆とキーボードを対立させて語る事はやめよう・・・」です
別に達哉んの文章を否定しているわけでもなんでもないですよ
僕は万年筆を人に勧める事は特にしません
僕が使っている姿や筆跡を見た人から何らかのコメントをするのをちょっと期待しているくらいですね
でも 聞かれたらこう答えます
「あまり書く事がなくなったゆえに せっかく書くなら 自分の文字を大事にしたいし その為にはお気にいりの筆記具をつかうのがいいと思う」
ですね
別に鉛筆でもボールペンでもなんでもいいんです
ただ万年筆は文字通り インクとメンテさえすれば死ぬまで使えるという事
ともに一生すごせるという そういうロマンかなあ
リフィルでは決して味わえない そういう付き合いができるがの万年筆である
多分僕が万年筆に感じている魅力ってこれに尽きると思っています
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