長かった万年筆布教論も、この「アフターサポート」と「あとがき」を残すのみとなりました。
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前項において万年筆団体の利用方法を述べ、またここまでの内容でペンクリやインク工房に関する話も断片的に述べてきた。これらを含め、ここではアフターサポートで何をすべきかの総論を記す。
アフターサポートと聞いたとき、布教者はどの程度のことができるか、また、すべきことはどの程度か。まず、布教者はメーカーでも販売者でもないことから、ペン先の交換等はできないし、修理保証もできないということは妥当であろう。一部の調整技術に長けた人は別として、一般にそういった修理・調整技術がある状況は珍しい。
その場合、できることは限られてくる。情報の提供・取次がそのほぼ全てと言って良い。だが、そこにこそアフターサポートの意味がある。アフターサポートとして布教者に求められる最重要たる部分は、情報なのである。技術面での提供はメーカーや一部の販売店、あるいは万年筆会認定調整師に及ばない。布教者がそれらに勝るのは購入者からの連絡の取りやすさの点である。そこで、その連絡の取りやすさを生かした情報の提供こそがポイントとなる。得意なところを活かせ、ということである。
概ね、次の情報は誰に対しても必要である。
・何らかの問題が生じた時の対処方法
・消耗品の購入先(インクやコンバーター)
・洗浄方法
・2本目以降の勧め
・贈答等による他の万年筆購入の勧め
一方で、これ以外の情報は臨機応変に、必要に応じて小出しに与えていけばよい。そもそも万年筆の世界はすぐさま語れるものではないのだから、語れる部分から語っていけばよいのである。
上記以外に、関連商品の紹介(紙製品やシーリングワックス等)も有用であるが、これは布教者によって知識量に大きく差があり、また好みの問題もあろうからこれは出来る範囲で良い。万年筆の利用に関する情報は一通り与えられる、それが布教者のアフターサポートである。
ムダに多いアフターサポートではなく、出来る範囲でのアフターサポート。これがあるだけでも、万年筆の世界に孤立せずに済む意味で違いがある。将来的に万年筆の世界で一匹狼になるにしろ付き合うにしろ、まず基本的な知識は雑多な中から収集していくのではなく、体系的に与えてもらえたほうがよほどハードルは低くなるためである。
最後に、一つ重要な点として、アフターサポートは1本目までを旨とすべし、ということを述べておく。2本目以降については布教者の好みを反映させることなく、個人的な好みで選んでもらうほうがずっといい。そういう観点から言えば、1本目こそ口出しするものの、それ以降は最低限の情報だけを出して、自主的に行動してもらえばいいのである。そして同時に、その自主的な行動までいった人は、もうすでに布教対象としてではなく、万年筆仲間として扱えばよいのである。
--以上本文--
一通り「布教者として何をすればいいか」は述べたつもりです。
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